2026年9月16日、大阪はあいにくの雨模様。11年ぶりの開催となった昨年に続き、今年も大阪の地で「Aras Connect Osaka 2026」を開催いたしました。

今回のテーマは「Adaptive Intelligence|進化するインテリジェンスがイノベーションを加速する」です。

6月に開催した東京のイベントでは、ものづくりにおいて、AIや自社のデータ、業務プロセスを現場の判断にどう役立てるかが、中心的な論点となりました。大阪では、この問いをさらに掘り下げました。

つくり上げた仕組みを、現場でどう使い続けていくのか。データをどう管理し、業務プロセスをどう見直し、そしてユーザーにどう使ってもらうのか。PLMを「導入する」フェーズから、「現場に定着させ、使い続ける」フェーズへ。その変化が着実に進み始めていることを実感する一日となりました。

「崖」を越えた2026年に、DXをもう一度考える

オープニングの挨拶では、アラスジャパン社長の久次が、経済産業省が2018年に提唱した「2025年の崖」を振り返り、2026年の今、DXを改めて考えることの重要性について語りました。

レガシーシステムを抱えたままでは、新しい技術を十分に生かすことができない。この警鐘が鳴らされてから数年。企業を取り巻く環境には、AIという新たな技術が一気に広がっています。

しかし、製造業でAIを活用するためには、自社のデータが欠かせません。データがいくつものシステムに分散し、互いにつながっていなかったり、長年稼働してきたレガシーシステムの中に埋もれていたりすれば、AIを導入しただけで業務変革につなげることは困難です。

かつて指摘された課題に改めて立ち返り、AI時代を迎えた今、何を変えるべきかを見極める。

Aras Connect Osaka 2026は、DXの現状と課題を改めて共有するところからスタートしました。

複雑化するものづくりの中で、AIとPLMが担う役割

Aras CEOのレオン・ローリセンは、世界中の企業との対話を重ねる中で見えてきた製造業に共通する課題を示しました。

  • 製品そのものの複雑化
  • 規制対応の負荷
  • 複雑さを増すサプライチェーン
  • 社内に並存する複数のITシステム

ものづくりを取り巻く環境が複雑さを増すほど、PLMが果たす役割は大きくなります。

CADデータや部品表の管理にとどまらず、要件管理、システムズエンジニアリング、試験・検証、品質管理、規制対応、製造、保守、サプライチェーンに至るまで、より広範な情報を結びつけることで、製品ライフサイクル全体を通じたさまざまな課題への対応を支えます。

そして、そこで大きな期待を集めているのがAIです。

ただし、講演では「AIは魔法ではない」という点を繰り返し強調しました。データ同士のつながりが欠けていれば、AIが参照できる情報の範囲や、その回答の品質も限られます。バージョンや変更の履歴、データ間の正しい関係性をAIが把握できなければ、求める答えを得ることは難しく、誤った回答につながる可能性もあります。

AI活用の土台となるのは、社内に蓄積されたデータをデジタル化し、その関係性や変更の履歴まで含めて、相互につながった状態をつくることです。すなわち、デジタルスレッドです。

会場では、AIアシスタントを活用してAras Innovatorへの実装を進めるプロトタイプも披露しました。想定したのは、欧州で新たに導入される関連規制への対応です。AIが各社固有のAras Innovator環境を読み解き、データモデルやワークフローを踏まえて必要なシステム変更を提案し、実装まで進めていく様子を実演しました。

AIの役割は、情報を探し出すことにとどまりません。

企業固有の業務やシステムの成り立ちを理解したうえで、ソリューションの設計から実装までを支援する――そんなPLMとAIの活用の可能性をデモを通じて紹介しました。

変化に適応し続ける「Adaptive PLM」という考え方

「What’s New and Next at Aras ― The Road to Adaptive PLM ―」と題したセッションでは、「Adaptive PLM」のコンセプトを改めて説明しました。

Adaptive PLMとは、企業固有のデータや業務プロセスを生かしながら、ビジネスやテクノロジーの変化に合わせて進化し続けるPLMという考え方です。すでに蓄積されたデータや既存のシステムを生かしつつ、新しい技術や業務を取り巻く変化にも柔軟に対応していく。目指すのは、PLMの役割を設計データや部品表の管理にとどめず、エンジニアや現場の意思決定を支える情報基盤へと広げていくことです。

その実現を支えるAras InnovatorEdgeのサービスとして、Edge API、Edge Builder、Edge AIを紹介しました。あわせて、今後のロードマップも示しました。

AIとPLMを掛け合わせるだけではありません。社内に点在するデータやシステムをつなぎ、それまで蓄積してきた情報を生かしながら、変化に合わせて進化し続けられる環境を整える。このセッションでも軸となっていたのは、単に「機能を増やすこと」ではなく、「変化に適応し続けられる仕組みをつくること」でした。

サブスクライバー様によるPLM活用のご講演

サブスクライバー様による講演では、日産化学株式会社 袖ケ浦工場 デジタル改革室 室長の進士智成氏と、パナソニック デジタル株式会社 開発設計ソリューション統括部 PLMソリューション第二部 部長の山本和之氏にご登壇いただきました。

各講演のタイトルと概要は、当日のアジェンダをご参照ください。

完成した答えではなく、途中経過を持ち寄れる場として

大阪会場では、成功事例にとどまらず、取り組みの途上にある企業の率直な声も数多く聞くことができました。

各社がそれぞれに異なる課題を抱える中で、PLMやAIを現場でどう活用しているのか。どこでつまずき、どのように改善を重ねてきたのか。

完成した答えだけではなく、実践の途上で得られた知見や試行錯誤を共有し合えることも、Aras Connectのコミュニティが持つ価値の一つです。

350人近くが一堂に会し、一日を通してPLMについて語り、考え、それぞれの経験や知見を共有したAras Connect Osaka 2026。

ここで交わされたさまざまな議論や気づきが、それぞれの現場でPLMをさらに活用し、育てていくための新たな一歩につながることを願っています。

ご来場いただいた皆様、ご登壇ならびに開催にご協力いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。