PLM ― あらゆるデータを、適切にコントロールする基盤

PLM ― あらゆるデータを、適切にコントロールする基盤
意識しなくても、自動的にデータとデジタルスレッドを制御できる仕組み

ものづくりとは、単なる部品の集合体ではありません。それは、設計、過去の実験結果、そして変更の意図(ナレッジ)の結晶です。CADデータ、設計・製造BOM、製造指示書に至るまで、あらゆるデータに重要な知恵と判断が埋め込まれています

しかし、最新の情報だけを共有・管理するというナレッジ共有ツールの様なアプローチでは、大切な情報や経緯を維持することができません。その結果、過去の失敗や成功体験が活かされず、新たなものづくりに知見が活かせないだけでなく、手戻りや品質問題を引き起こす根本原因となります。

また、製品は単一のファイルや仕様書だけで成立するものではありません。要件定義、設計、品質管理、製造に至るまで、あらゆるデータが生成され、製品を構成するデータ群全体が持つ「相互の関係性」によって成り立っています。この複雑な関係性の整合性こそが、製品品質と競争力の源泉です。

しかし、現実の管理手法はどうでしょうか。手動による管理では、ファイル名に日付やバージョン番号を付与したり、フォルダを分けたりするのが限界です。これでは、数個の主要ファイルの履歴を追うのが精一杯となり、無数に存在するデータ間の依存関係や、異なるバージョンの組み合わせを全体として正確に把握することは不可能です。

この無限に広がるデータの関係性の中で、常に「知識と意図が紐づいた正しいデータとその関係性」を維持しながら、設計から製造、サービスへとシームレスにものづくりを推進していくためには、単に最新情報を共有するでは根本的な解決に至りません

そこで、PLM(製品ライフサイクル管理)によるバージョン管理が決定的な役割を果たします。PLMは、最新版だけでなく、すべての変更履歴、差分、そして変更を承認した背景(Why)を正確に記録しますさらに、データ間の正しい繋がり、すなわちデジタルスレッドを自動的に構築します。これにより、お客様の製品開発は過去の知恵が未来の設計に活きる、本質的なナレッジ基盤へと進化するのです。

PLMバージョン管理の本質

データと関係性の「正確さ」を担保する

PLMにおけるバージョン管理の本質は、単にCADのような個々のデータの世代を追うことにとどまりません。それは、データとデータの関係性(リレーションシップ)や、全プロセスにおけるトレーサビリティまでも考慮して構築される、複雑なものづくりを支える基盤です。

「正確なデータ・情報」とは何か?

製品の設計から製造、サービスに至るまでのプロセスは、数千、数万に及ぶ部品データ、図面、仕様書、実験結果など、膨大なデジタル情報の連鎖によって支えられています。

私たちは「最終版」のデータが常に「正しい」と考えがちですが、ものづくりにおける情報は、ある意味で生き物です。前後のプロセスへの影響を考慮しながら日々調整が続き、作成時や承認時の条件が変わることで、もはや「誤った情報」となる可能性があります。

正確性を証明する「時間軸」と「背景」

真に正確なデータとは、単にファイルの内容が最新であることではありません。それは、変化し続けるデータに対し、それぞれの時点(工程)における「正確さ」が証明できる状態を指します。

その証明を可能にするのが、以下の情報です。

  • 「いつ」変更され
  • 「なぜ」その変更が必要だったのか
  • 「誰」が承認をしたのか

これらの差分や背景情報にまで遡って確認できることで、「どうして、今、このデータを使うべきなのか」という確固たる理由が判明し、データの信頼性が確立されます。

バージョン管理が担う「データ制御」

一つひとつのデータの変更履歴をもれなく残す

Aras Innovatorでは、自動的にすべての変更履歴を保存します。各時点でのデータをもれなく保存・管理することを「世代管理」と呼んでいます。

具体的には、各アイテムが作成された時点で「世代」が1と設定され、その後はデータの保存をトリガーとして「世代」が2、3、4、・・・として管理されます。それぞれの「世代」のデータはスナップショットとして保存されており、各世代のデータをさかのぼって確認することができます。

単なる履歴管理ではない、データの「状態」も制御する

PLMにおけるバージョン管理は、単に履歴を記録するだけではありません。データの「状態(ステート)」を厳密に定義します。

データは、開発の進行とともに「ドラフト」「レビュー中」「承認済」「リリース済」といった複数の状態を遷移しますAras Innovatorは、この状態の遷移を制御するライフサイクル管理と、データに対する「誰が」「何ができるか」という権限管理を組み合わせることで、データの信頼性を確実なものにします。データが「承認済」の状態に移行した瞬間、自動的に編集・削除がロックされるなど、状態と権限が一体となって制御されるため、常に正しい確定版での業務遂行が保証されます。

Aras Innovatorの権限管理について

また、データが「リリース済」の状態に移行し、正式に利用が開始されたデータについては、Aras Innovatorでは呼び名を「リビジョン」(例:A, B, C)へと変更し、視覚的な識別を容易にしています。

このリビジョン化されたリリース版(確定版)に変更を加える場合は、現在のリビジョン(例:リビジョンA)は固定され、次のリビジョン(リビジョンB)が生成され、新たな開発プロセスと承認プロセスが開始されます。 これにより、今は、どのデータを使うべきなのかが明確に区別でき、常に正しい確定版での業務遂行が可能となります。状態と権限、そしてバージョン名称を制御し、ヒューマンエラーを防ぎます。

「単なるファイル」から「意味のある製品定義」へ

バージョン管理が、個々のデータやその進化の過程を正確に記録する機能であるのに対し、リレーション管理は、それらのデータ間に意味のある繋がり(関係性)を持たせる機能ですこの繋がりこそが、冒頭で述べたデジタルスレッドの中核を成します。

製品開発においては、設計、製造、品質管理の各プロセスで日々新しいデータが生成されており、本来、これらのデータは常に連携されていなければなりません。その都度、新しいデータ間の連携も構築する必要があります。

しかし、数百、数千に及ぶ異なる種類のデータ(アイテムタイプ)間の複雑な依存関係や、その変更履歴を、人手とファイルサーバーだけで追跡・維持することは事実上不可能です。特に、ある部品が変更された際、それが最終製品のどの部分に影響し、どの文書を更新する必要があるかを一つひとつ確認する作業は、極めてエラーが起こりやすく、膨大な時間を要します。

Aras Innovator:全アイテムタイプで関係性を構築し、デジタルスレッドを実現

Aras Innovatorの大きな特長は、全てのアイテムタイプ(データ種別)間で柔軟にリレーションを管理できる点にあります。これにより、手動管理の限界を超越し、製品のライフサイクル全体を貫く「デジタルスレッド」の構築を可能にします。

前後のファイルとの関係性構築

CADデータとそれが参照する図面、部品表とそれに必要な製造指示書、要件とそれを満たすためのテスト結果など、製品開発の前後のプロセスにある異なるデータ同士の関係性を、定義通りに正確に構築・維持できます。このデータの切れ目のない繋がりこそが、デジタルスレッドそのものです。

影響範囲の瞬時な把握

例えば、ある部品の設計に変更を加えた際、その部品が使用されているどの製品、どの製造工程、どの品質ドキュメントに影響が及ぶのかを、リレーション(デジタルスレッド)を辿って瞬時に把握できます。これにより、変更のレビューと承認プロセスを迅速かつ正確に進めることが可能になります。

リレーション管理によって、データは孤立した存在ではなくなり、製品定義全体として整合性の取れたシステムへと昇華されます。これが、手戻りを防ぎ、真の効率化と品質向上を実現する鍵となります。

組織のバージョン管理ルールをそのままAras Innovatorに

システムに「合わせる」必要はありません

データのリレーション(関係性)を含めたバージョン管理のルールは、組織が「改善」を繰り返す中で生まれた、いわば各組織の最適解です。しかし、この最適解ルールをシステムに実装しようとした際、多くのシステムでは仕様上の制約から対応しきれず、せっかく作り上げたルールを、システムの仕様に合わせて変更せざるを得ないケースが少なくありません。

Aras Innovatorは、自社のバージョン管理ルールをそのまま踏襲し、システムの仕様を組織の最適解に合わせることが可能です。特に、データのリレーションを含めた複雑なルール設定において、その柔軟性が最大限に発揮されます。

柔軟なリレーション制御のメカニズム

Aras Innovatorでは、以下のメカニズムにより、組織ごとの複雑なルールを完全に再現できます。

ライフサイクルとリレーションシップの個別設定:

各データがバージョンアップした際(リビジョンアップ時)、親子関係にあるデータとのリレーション(つなぎ方)をデータ種別やライフサイクル(工程)に合わせて個別に細かく設定することが可能です。

複数段階リレーションの制御:

複数段階にわたる複雑なデータのリレーション(例:要件仕様、設計BOM、製造BOM)も問題なく制御し、整合性を維持します。

つまり、Aras Innovatorでは、お客様の最適解ルールをライフサイクルやリレーションシップとしてあらかじめ設定しておけば、現場のユーザーは特別な知識や意識を持つ必要がありません。

ユーザーはマニュアル通りに操作するだけで、一つひとつのデータはもちろん、データ同士の関係性までも自組織の最適解ルールに従って半ば自動的に管理・制御することが可能となるのです。これにより、運用の定着化とデータの一貫性・正確性の最大化を実現します。

デジタルスレッドが、ものづくりの精度と速度を飛躍的に向上させる

長年の「改善」の成果として蓄積された組織ごとの「やり方」は、組織にとっての貴重な資産です。しかし、その「やり方」を可視化し、システムとして体系化・可視化することは容易ではありません。

今回ご紹介した「バージョン管理」や「リレーション管理」によるデータの管理・制御に加え、「ワークフロー」や「権限管理」といった中核機能を組み合わせることで、Aras Innovatorは各組織独自の「やり方(最適解)」に合わせたPLMの構築を可能にします。これにより、これまで積み重ねてきた資産を活かし、さらにデータや情報を有効活用できる形で蓄積することが可能となります。

  • トレーサビリティの確保:冒頭で述べたデジタルスレッドを適切に管理・制御することで、情報の一貫性とトレーサビリティを確実なものにします。
  • 開発サイクルの短縮化:過去データを有効活用できる形で蓄積するため、開発サイクルの短縮化が求められる現代において大きなアドバンテージとなります。
  • ヒューマンエラーの削減:データの「正確さ」を担保し、確実なバージョン管理を行う仕組みを構築することで、ヒューマンエラー(不要な上書きや必要なデータの消去など)を劇的に減らすことができます。

ユーザーは、マニュアル通りにシステムを利用するだけで、煩雑なデータ管理や複雑なデジタルスレッドの管理・制御も、自組織の「やり方」に沿った形で自動的に実現できます

ぜひ、Aras Innovatorの可能性をご体験ください。

無料トライアルも実施中です。詳細資料請求やデモンストレーションをご希望の方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。

 バージョン管理2

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もっと知る!PLMとArasの特長

PLMによる業務改善とAras Innovatorの活用方法についてシリーズでご紹介しています。