PLM(Product Lifecycle Management)とは、ものづくりに関するあらゆるデータを一元的に管理し、企画、設計から生産、販売、サービス、不具合情報まで、製品ライフサイクル全体を統合的に運用するためのシステムです。
PLMが他のナレッジ共有ツールと大きく違う点は、すべての情報を「データプール」と呼ばれる一つの場所に集約することです。
一般的なナレッジ共有ツールでは、一つ一つのフォルダーごとにアクセスできる人を決めていくのに対し、PLMでは、工程や役割に応じて必要なデータ・人・ワークフローを結びつけ、「データプールから誰が、いつ、何を見て、何ができるのか」を制御します。

これにより、安全性と効率性を両立した情報運用を実現し、企業全体の生産性と品質向上を支える、信頼性の高い基盤を築きます。
ここでは、Aras Innovatorの権限管理についてご紹介します。
「Aras Innovator」についてはこちらでご紹介しています。
Aras Innovatorについて詳しく知る

ここで重要なのは、誰がCADをつくるのか、誰がレビューをするのかといった役割(ロール)が設定されていることです。
Aras Innovatorでは、 「人」もデータの一つとして扱い、データプールにて管理します。
①誰が新規作成できるのかを設定し、②誰が(作成されたデータに対して)何をできるのかという「パーミッション(許可)」を設定します。
Aras Innovatorの「パーミッション(許可)」の設定では、表示、更新、削除、ディスカバー(検索)などをユーザーごとに設定することが可能です。

そして、ワークフローのステータスである「ライフサイクル」を管理します。ステータスが分かることで、進行状況が確認できます。

これは、前回の経費精算のワークフローでの例でもご紹介した、申請者が金額を間違えた場合で考えると分かりやすいかもしれません。
承認者は、金額が間違っていた際「コメントに残し、承認プロセスを戻す」ことが役割です。金額を書き換えて、次のプロセスに進めることはしません。これは、ものづくりの現場でも同じプロセスとなります。

ナレッジ共有ツールの様に一つのファイルにて対して複数人が同時に編集するということはせず、データの品質を保ち以下のような事故を防ぐため編集権限を持つ人を限定します。
Aras Innovatorでは、ワークフローを構築・管理するだけでなく「人」もデータの一つとして扱います。そして「人」のデータもデータプールにて管理されます。これにより、ワークフローにおいて詳細に権限設定を行うことが可能です。
製品開発の現場では、設計・製造・品質・サービスなど、より多くの人が同じ情報を共有し、連携することが不可欠です。
ワークフローの進行に応じて、データにアクセスできる人を段階的に増やしていくことが、PLMの権限管理の大きな特長です。設計段階で作成された情報は、承認やリリースといったプロセスを経て、次の工程の担当者へ正確に引き継がれます。これにより、関係者全員が常に同じ情報を共有し、誤差や重複のないスムーズな業務連携を実現します。
ナレッジ共有ツールが共同作業や情報を残すための仕組みであるのに対し、Aras Innovatorは情報を正確に引き継ぎ、業務を確実に前へ進めるための仕組みを提供します。部門間でデータが循環し、プロセス全体が一貫した情報のもとで進行することで、組織全体の生産性と品質向上を支えます。
また、製品情報の変更は関係者に影響を及ぼすため、Aras Innovatorでは責任と承認プロセスを明確化してます。変更履歴の完全な管理と承認プロセスの徹底により、すべての決定が透明で追跡可能な形で蓄積されます。これにより、複雑な製品開発においても信頼性とコンプライアンスを維持しながら迅速な意思決定が可能になります。

一般的なシステムでは、「誰に」「何を」許可するのかを積み上げて設定していく“足し算”の権限管理が主流です。Aras Innovatorでは、 “足し算”に加え“引き算”で、本当に必要な人が必要なときにアクセスできる仕組みを実現しています。
Aras Innovatorでは、権限管理を付与する際、ユーザー単位だけでなく、グループ単位でも効率的に管理することが可能です。プロジェクトや部門ごとに柔軟に設定できるだけでなく、全体に権限を付与した上で特定のメンバーのみを一時的に除外するといった「引き算」の運用が可能です。この柔軟性により、管理の手間を減らしながらも、安全性と透明性を両立します。
グループ内で権限レベルが異なる場合でも、最大権限が全員に適用されるというのもAras Innovatorの特長です。権限の重複や不整合を防ぎ、チーム全体が同一のアクセスレベルで作業できるようになります。
また、複数の部署から構成されるプロジェクトチームを作成し、そのチームに対して特定期間のみの権限を付与することも可能です。プロジェクトのライフサイクルに合わせた権限運用により、実際のものづくりの現場に即した柔軟なセキュリティ管理を実現します。
Aras Innovator は、システムの枠に業務を押し込めるのではなく、現場の実態に合わせて柔軟に進化できる仕組みを提供します。流れを止めないワークフローを基盤に、オープンな連携、持続的な改善、進捗に応じた権限管理を実現することで、モノづくりの現場に必要な「変化に強い業務基盤」を築くことができます。
Aras Innovator は無料トライアルを提供しています。ぜひ実際に体験していただき、貴社の業務に合ったワークフローをどこまで構築できるのか、その可能性を確かめてみてください。
システムの安全性と運用効率を支える基盤として、「認証(Authentication)」と「認可(Authorization)」には複数の仕組みがあります。Aras Innovatorは、オープンで拡張性の高いPLMプラットフォームとして、人事システムやディレクトリサービスなどの外部システムと連携し、組織全体で一貫した権限管理を実現します。
また、ユーザー数に制限がなく、どのような組織構造にも柔軟に対応可能です。これらの考え方を柔軟に組み合わせることで、企業ごとのポリシーやプロセスに沿った最適な権限管理を実現します。
ユーザーが誰であるかを確認する仕組み
IDとパスワード、またはシングルサインオン(SSO)などを通じて、正規の利用者であることを確認します。Aras Innovatorでは、企業のディレクトリサービスやセキュリティ基盤との統合も可能です。
ユーザーがどのデータに、どのようにアクセスできるかを定義する仕組み
以下のような複数のモデルを活用し、柔軟なアクセス制御を実現します。
データ(オブジェクト)ごとに、誰が何の操作を行えるかを個別に定義する方式
きめ細かな設定が可能で、特定データの閲覧・編集・削除などを個別に制御できます。
ユーザーを役割(ロール)に紐づけ、職務や責任に基づいて権限を付与する方式
「設計者」「承認者」「閲覧者」といったロールを定義することで、個人単位の設定を避け、管理の効率化と一貫性を実現します。
ワークフローの進行に応じて、アクセスできる人・範囲を段階的に拡大していく方式
製品開発プロセスの進行に伴い、設計情報が製造・品質・サービス部門へと引き継がれるPLM特有のモデルです。
ユーザー・データ・環境などの属性(部署・役職・プロジェクト・期間など)に基づいて権限を決定する方式
より動的で柔軟なアクセス制御を可能にし、複雑な要件にも対応できます。
ものづくりに関するあらゆるデータを一元管理し、有効に活用することがPLM(Product Lifecycle Management)の本質です。
しかし実際には、単にデータを集約するだけでは不十分です。詳細なワークフローの設計、ユーザーの役割定義、権限設定、そしてこれらと作業対象データの正確な関連付けが、製品開発全体を統合的に管理に求められます。
さらに、設計・製造の一部工程にとどまらず、企画・要件定義から生産、出荷、アフターサービスに至るまでの全フェーズを管理することで、初めて真の意味での「製品ライフサイクル管理」が実現します。
Aras Innovatorは、このような統合管理を可能にするソリューションです。単一のプラットフォーム上で「データ」「ワークフロー」「人」「権限管理」を包括的に管理し、製品ライフサイクル全体の可視化と、柔軟で持続的な価値創出を支援します。
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第三回目:情報を守り、貯め、使うための権限管理