この記事は2017年10月3日にDOUG MACDONALDによって投稿されたものを和訳しています。

CIMdataは、複雑な製品開発が直面する新たな課題と、レガシーPLMシステムの不十分さを認識し、GartnerやIDCとともに数年前にProduct Innovation Platformという言葉を導入しました。「製品ライフサイクル全体を通じて、製品に関するすべての分野とユーザーにかかるイノベーションを可能にするビジネスプラットフォーム」という定義から始まったのはよいスタートでした。CIMdataは最近、この定義を5つの戦略的インパクトと7つの基盤的特性の枠組みに拡大した。「Product Innovation Platforms: Definition, Their Role in the Enterprise, and Their Long-Term Viability(企業における定義とその長期的な存続可能性)」という記事の全文  は、スマートでコネクテッドな製品の製造元(ほぼすべての製造業ではないでしょうか)にお読みいただく必要があります。

これまでCIMdataはプロダクト・イノベーション・プラットフォームについて幅広く執筆していましたが、このフレームワークに到達するまでに数年かかっています。製造業のここ最近の大きな変化を考えれば、ムービングターゲットを分類し特徴づけるためによく努力していたといえます。レガシーPLMの導入にも3年ほどかかるのですから。

ついにCIMdataはこれを完成させたのです。彼らは今、「自社のビジネスをどう成長させていくか?」という製造業における最大の問題の1つに答えるために、業界に重要なコンテンツを提供しました。

CIMdataの発表した内容にはたくさんの良い情報が含まれています。プロダクト・イノベーション・プラットフォームの定義に着目すべき理由はいくつかあります。

1.プロダクト・イノベーション・プラットフォームという用語は、製品に関する考え方を再考する

「プロダクト・イノベーション・プラットフォームは、ツール、人員、および情報がライフサイクル全体にわたり同期され動作するため、新製品開発の流れを確実にします。」

製造している製品がパーティー用の風船であろうとエアバスA330であろうと、またはシボレーであろうと、競争力のある製品を開発して出荷することは、製造業者の成功の源になります。競争力を持ち利益を上げるためには、設計部門間の緊密な連携だけでなく、上流および下流の部門との連携も必要です。レガシーPLMは各部門と製品の各フェーズを統一すると考えられていましたが、実際にはCAD管理どまりでした。CIMdataの定義は、ものづくりの成功のためのプラットフォームに企業を集中させるために、この失敗に対する答えになっています。

2.この定義は、デジタルトランスフォーメーションに関する社内の議論の出発点となる

プロダクト・イノベーション・プラットフォームの定義におけるCIMdataの目的は、「企業がエンドツーエンドの製品ライフサイクルをサポートする新世代のテクノロジを計画するのを支援する」ことです。彼らは、5つの要件と7つの特性を、現在と未来のニーズを満たす仕組みの属性として発表しました。プロダクト・イノベーション・プラットフォームの定義により、製造業は技術を通じたプロセスの変換を議論し、従事する人々の能力を強化するための基盤を提供します。

デジタルトランスフォーメーションという言葉は、あいまいで、聞き飽きたかもしれません。ソーシャルメディアから複雑な製品を扱う製造業まで、誰もがデジタル化について話しています。このことは、この言葉が無価値でないことを示しています。ほとんどの場合、企業がそれについて話しているとき、情報のデジタル化、つまり新しいシステムを指しています。しかし同時に、Arasの顧客からは、そこに重要なプロセスがあることもわかっています。各社ごとに状況は異なるため、システムは現在のプロセスに適合するだけでなく、将来のために進化しなければなりません。

3.イノベーションにはどの部門もかかわる

「最終的には、あなたの会社が競争力を持って、顧客の期待に合う製品を提供し、収益を上げていくことが目標です」。プロダクト・イノベーション・プラットフォームのアイデアは、すべての部門に共鳴するものでなければなりません。

従来の用語、特にPDM(製品データ管理)は、製品の機械的側面のみを暗示していました。したがって、設計領域以外でもCADユーザーであっても、PLMという用語はなじみのないものであり、ERPやMESなどの関連製品プロセスに関心がある部門にはほとんど意味を持ちません。しかし、企業内の誰もが、絶え間なく顧客のために製品イノベーションを起こし続けることにかかわっている可能性があります。

現在の製品の複雑さは、ソフトウェア、電子、電気、および機械設計のためのシステムエンジニアリングのアプローチを必要とすることは間違いありません。CIMdataのポジションペーパーで重要な点は、「これらの機能は、新製品開発(NPD)だけではなく、顧客、サプライヤ、ビジネスパートナーを含むすべての企業でますます必要とされている」という認識です。企業のイノベーションを可能にするデータと業務プロセスは、単に製品を開発する部門に限定すべきではありません。

4.製造業が次のレベルの業務効率化を達成するためには、この定義が必要

CIMdataは次のように述べています。「多くの組織は、古くなってしまったアーキテクチャーでは迅速に動くことができません。」プロダクト・イノベーション・プラットフォームは、製造業が将来のために構築していく必要のあるものです。製造業はこの定義を使用して、次のレベルの生産性と運用効率に到達するための第一歩を踏み出すことができます。

製造業各社は新しい技術を採用したいと思っていますが、複雑な製品設計の基本的な側面のいくつかを最初に取得する必要があります。彼らは知らない製品構成にIoTデータを戻すことはできません。CADデータを管理するために構築されたPLMシステムを使用してMROを製品開発に接続することはできません。どれくらいのマクロがあっても、スプレッドシートで必要な連携を行うことはできません。問題はどこから始めるのかです。

製造業各社はまだPLM1.0と戦っているのです。

私たちは次世代の産業革命の真っ只中にいます。我々はInternet of Things(IoT)、Industrie 4.0、コネクテッド製品、機械学習、自動運転、デジタルツインのような言葉を次から次へと浴びています。これらはすべて消費者の経験、産業の効率性、ビジネスモデルを変える可能性のあるすべてのクールなものです。しかし…

製造業の進むべき道筋

CIMdataの言葉を借りて―私たちは次世代PLMにたどり着くまでに30年の歳月を要しました。CIMdataは、製造業が着手すべき旅の始まりとなりうる、実行可能な定義を定めています。業界のリーダーたちは既に取り組んでいますが、プロダクト・イノベーション・プラットフォームとは呼んでいないかもしれません。そうでなければ、スプレッドシートの中に取り残され、ごく一部のためのITアーキテクチャに縛り付けられ、イノベーションからは遠ざかっていくのです。

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