みなさま、こんにちは!
アラスジャパン トレーナーの時田です。

ようやく梅雨が明け、夏らしい気候になってきましたが、みなさま元気にお過ごしでしょうか!?
 
 
さて、第22回のテーマは、「FileアイテムとVaultの設定」です。
今回は、Aras Innovatorで実ファイル(Word、PDF、CADなど)を管理する方法をご紹介していきます。


 
 
                                                     

実ファイルを管理している「Vaultサーバ」

 

まず、Aras Innovatorのシステム構成からご紹介していきます。
 

 
ユーザの方が使うクライアント(パソコン)上にあるWebブラウザがAras Innovatorの入り口になっており、サーバは、InnovatorサーバVaultサーバデータベースサーバがあります。

通常のデータのやり取り、例えば、Aras上でアイテムを新規作成したり検索したり更新したりする操作時には、上図の左半分(クライアント⇔Innovatorサーバ⇔データベース間)でやり取りがされています。

そして、ファイル(Word、PDF、CADなど)を取り扱うときだけVaultサーバが登場します。

ただし、Vaultサーバが管理しているのは実ファイルのみであり、そのファイルに関する属性情報(例:ファイル名やファイルサイズ、誰が登録したかなど)はデータベース上で管理されています(標準で「File」という名称のアイテムタイプが用意されており、そのアイテムとして各ファイルにまつわる属性情報が管理されるようになっています)。

これに伴い、Aras上でファイルを登録したり参照したりする際には、VaultサーバとInnovatorサーバ間でのやり取りが発生します。そのため、この2つのサーバ同士は、お互いの情報を知っている必要があります。

では、両サーバがお互いにアクセスし合うための情報は、どこで定義すればよいのでしょうか?
 
 
 

VaultサーバからInnovatorサーバへのアクセス

 

 
まず、VaultサーバからInnovatorサーバにアクセスする際に必要な情報は、VaultServerConfig.xmlというファイル内で定義します。
このファイルは、Vaultサーバをインストールしたフォルダにあります。
 

① AppServerURL・・・Innovatorサーバにアクセスする際のURL
② LocalPath・・・実ファイルの保存場所
③ login_name・・・Innovatorサーバにアクセスする際のユーザID ※デフォルトはvadmin
④ name・・・Vaultサーバの名称
⑤ version・・・Aras Innovatorのバージョン情報

システム管理者の方はこのファイルを開いて、上記の内容を指定してください。

つづいて逆の、InnovatorサーバからVaultサーバにアクセスするための情報を定義する箇所をご紹介します。
 
 
 

InnovatorサーバからVaultサーバへのアクセス

 

 
InnovatorサーバからVaultサーバにアクセスする際に必要な情報は、Aras Innovatorの中で管理されています。

TOC > アドミニストレータ > ファイルハンドリング > Vaults を開きます。
 

①名称・・・Vaultサーバに関連付けられているVaultアイテムの名称
②Vault URL パターン・・・Vaultサーバにアクセスする際のURL
※上図のようにパラメータを含めることもできますし、直接URLを入力することもできます
③Vault URL・・・上記②の「Vault URL パターン」で指定した内容が展開されます(読み取り専用)

システム管理者の方は、こちらも定義してみてください。

では、実際にAras Innovatorでファイルを管理する方法を見ていきましょう。
 
 
 

Arasで実ファイルを管理する方法は2つ!

 
Aras Innovatorで実ファイルを管理する場合、2つの方法から選択できます。
①Item型プロパティ
②リレーションシップ

 
 
まず、Item型プロパティの場合は、フォーム上で「ファイルの選択」リンクをクリックし(またはドラッグ&ドロップで)、ファイルを登録します。
※Aras Innovatorの標準では、「CADドキュメント」アイテムタイプでファイルを登録するためのItem型プロパティが定義されています。


 
 
また、リレーションシップの場合は、タブの中でボタンを押してファイルを選択して(またはドラッグ&ドロップで)ファイルを登録します。
※Aras Innovatorの標準では、「ドキュメント」アイテムタイプでファイルを登録するためのリレーションシップが定義されています。


 
Item型プロパティで管理できるファイルはひとつですが、リレーションシップの場合はタブの中で複数のファイルを管理できるようになっています。管理したいファイルの種類や利用シーンに応じて、どちらが適しているのか検討してみてください。

では、つづいて設定方法をご説明していきます。
 
 
 

ファイルを登録するための設定方法(Item型プロパティ)

 
まずはItem型プロパティから。

ファイル管理できるようしたいアイテムタイプを開き、プロパティを新規追加します。

「名称」と「ラベル」は自由に指定し、「データタイプ」欄には「Item」「データソース」欄には「File」を指定します。
そして、このプロパティをフォームに表示されるようにしたら設定完了です。

これでItem型プロパティを利用して、Aras Innovatorにファイルが登録できるようになりました。
 
 
 

ファイルを登録するための設定方法(リレーションシップ)

 
次はリレーションシップを利用した設定方法です。

こちらもファイル管理できるようしたいアイテムタイプを開き、リレーションシップタイプを新規追加します。

「リレーションシップ名」と「タブラベル」は自由に指定し、リレーティッド(子供の)アイテムタイプは「File」を指定します。
そして、リレーションシップタイプのフォームを開き、以下の項目を指定します。

①新規リレーティッドのオプション・・・「作成(Create Relater)」を選択します
②リレーティッド必須・・・チェックを入れます
③グリッドカラム表示位置・・・「右に表示」や「混在させて表示」を選択し、見やすいように調整します

 
 
さらに、リレーションシップタイプを作成すると自動生成されるリレーションシップアイテムタイプを開き、以下の設定を行います。

「プロパティ」タブを選択して、「related_id」を検索し、以下の項目を設定します。このプロパティに登録したファイルが添付されます。

①ラベル・・・自由に指定します
②隠す2・・・チェックを外します
③カラム順・・・数値を調整してリレーションシップグリッドに表示しているカラムを見やすいように並び替えます

以上で設定完了です。

これでリレーションシップを利用して、Aras Innovatorにファイルが登録できるようになりました。
 
 
 

各ユーザのファイルのアップロード先

 
最後に、各ユーザがどのVaultサーバにファイルをアップロードするのかを、ユーザ単位で指定することができます。

TOC > アドミニストレータ > ユーザ を開きます。

ユーザアイテムの画面を開き、「デフォルトVault」の欄に、各ユーザのアップロード先とするVaultサーバを指定します。

これで基本の設定はすべて完了です!
 
 
 
さらなる詳しい説明は、弊社で毎月開催中の 「Administration2」のトレーニング にてご紹介していますので、興味のある方は、ぜひご参加ください。
 
 
では、また次回、こちらでお会いしましょう!
楽しい夏休みをお過ごしください♪

アラスジャパン トレーナー 時田 和佳奈