みなさま、こんにちは!
アラスジャパン トレーナーの時田です。

前回に続き、今回もライフサイクルをテーマにご紹介してまいります。

第18回のテーマは 「ステートごとの設定 -パーミッションやワークフロー」です。

第17回では、ライフサイクルの基本的な設定方法をご紹介しましたので、今回はすこし発展的な機能の設定方法に触れていきます。
ライフサイクルをまだあまりご存知でない方は、ぜひ 第17回のブログ からご覧ください!
                                                     

ステートごとに設定できる項目

 

前回は、「ライフサイクルマップを作成して、1件1件のアイテムのステータスを管理できるようにする」 ところまで、ご紹介しました。
今回は、より複雑な運用にも対応できるよう、各ステートに対して設定可能な項目からご説明してまいります。

ライフサイクルマップの各ステートを選択すると、画面右上の「ステート」タブが開き、以下の設定を行えます。

① リリース済み
アイテムがリリースされたことを意味します。各アイテムは、この欄にチェックが入っているステートにあるときに世代(バージョン)が上がると、同時にリビジョンも上がり、ライフサイクルが初期化(リセット)され、新リビジョンのライフライクルが新たに始まります。

② ロック不可
この欄にチェックを入れると、そのステートにある間、アイテムをロック(編集)できなくなります。

③ ステートパーミッション
ステートごとに パーミッション(アクセス権)を設定できます。この欄にパーミッションを割り当てると、アイテムがそのステートに到達した場合に、アイテムタイプに設定されているパーミッションではなく、こちらが適用されます。詳細は後述します。

④ ワークフロー
ステートごとにワークフローを起動したい場合に、この欄にワークフローマップを登録します。詳細は後述します。

⑤ 履歴テンプレート
ステートごとにログの残し方を変えることができます。この欄に履歴テンプレートを割り当てると、アイテムがそのステートにある間、アイテムタイプに設定されている履歴テンプレートではなく、こちらが適用されます。
これにより、例えば、アイテムが「準備中」ステートのときは、ユーザが「編集」や「削除」の操作をしたらログを残すけれど、「リリース済み」ステートになったら、「表示」をしただけでもログを残す、といったコントロールが可能になります。

⑥ メールの作成
ステートごとにEメールを送る設定が行えます。

⑦ アイテムの振る舞い
アイテムの世代がアップした際の参照先の振る舞いを定義します。詳細は、第15回のブログ をご参照ください。

 

トランジションごとに設定できる項目

 

つづいて、各トランジションに設定できる項目をご紹介します。
ライフサイクルマップ上でトランジションを選択すると、画面右上の「トランジション」タブが開き、以下の設定を行えます。

① ロール
プロモート(ステートを変更する処理)を行う権限を与えるアイデンティティを指定します。

② サーバーメソッド
プロモートする際に事前処理・事後処理が必要な場合、プログラムを設定します。

③ コメントを付ける
この欄にチェックを入れると、ユーザがプロモート処理を行う際にコメント入力欄が表示されます。そこで入力したコメントは、各アイテムの画面の 「ビュー>更新履歴参照」 から確認できます。なお、この機能を利用するには、アイテムタイプの「履歴テンプレート」欄の設定も必要です。

④ メールの作成
トランジションごとにEメールを送る設定が行えます。

以上が、各ステートやトランジションに対して、設定できる項目です。

ここからは、ライフサイクルの機能をさらに活用していただくために、上記でご説明した中から2つの便利機能をピックアップして、より詳しくご説明してまいります。

 

便利機能①:ライフサイクル × パーミッション

 

まず、ひとつ目が、「ライフサイクル」と「パーミッション」を組み合わせて使う方法です。

繰り返しとなりますが、設定は以下より行います。
ライフサイクルマップ上で、ステートを選択して「ステート」タブを開き、「ステートパーミッション」欄に任意のパーミッションを指定します。

これにより、ステートごとにパーミッション(アクセス権)を切り替えられるようになります。
例えば、アイテムが「準備中」ステートのときは、様々なユーザがデータの「表示」・「更新」・「削除」ができるようにし(例①)、

「リリース済み」ステートになったら、全員が「表示」しかできないようにする(例②)。

あるいは、各アイテムが「リリース済み」ステートになってはじめて他部門のユーザが参照できるようにし、それまでは自部門のメンバーしか操作できないようにする、といったように、そのアイテムのステートに応じて、アクセス権を自動的に切り替えることができます。

これにより、部門を超えてスムーズに情報を共有したり、意図しない誤操作を制御したりすることにつなげることができます。

便利機能②:ライフサイクル × ワークフロー

 

つづいて、ふたつ目の便利機能は、「ライフサイクル」と「ワークフロー」を組み合わせて利用する方法です。
こちらも繰り返しとなりますが、設定は以下より行います。

ライフサイクルマップで、ステートを選択して「ステート」タブを開き、「ワークフロー」欄に任意のワークフローマップを指定します(ワークフローの定義方法は、次回ブログからご紹介予定です)。

これにより、ステートごとにワークフローを起動させることができるようになります。

例えば、アイテムが「テクニカルレビュー中」ステートになったら、担当部門の管理者から承認を得るためのワークフローを回したり(例①)、

アイテムが「承認済み」ステートになったら、担当部門の関係者に報告を行うためのワークフローを回したりすることができます(例②)。

今回ご紹介した、ライフサイクルとワークフローを組み合わせて利用する方法は、ライフサイクルのステータス変更に伴って、ワークフローを起動させるという、「ライフサイクルが主になる」やり方でしたが、

これ以外に、ワークフローを回しながら自動的にアイテムのステートをコントロールしていく(前回ご紹介したように手動でプロモートする方法ではなく)という、「ワークフローが主になる」設定方法もあります。
こちらは、第21回のブログでご紹介予定です。

さて、2回にわたり、ライフサイクルの設定方法をご紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
Aras Innovatorのライフサイクルには、各社様の複雑な運用に対応できるよう、充実した付随機能が備わっていますので、ぜひご活用いただければ幸いです。
次回からは、ワークフローの設定方法をご紹介していきます。
また来月こちらでお会いしましょう!

アラスジャパン トレーナー 時田 和佳奈