2018/7/26更新:講演資料を公開しました。(ページ後述参照)


本開催報告では、ユーザー事例講演、様々なトピックスの分科会講演、Aras社員による講演内容などの、2日間のダイジェストを報告いたします。

※当日のリアルタイムレポートはアラスジャパンのTwitter公式アカウントまたはハッシュタグ#ACEconXをご覧ください。

Day1:6月14日(木)

「ご挨拶アラスジャパン 社長community.aras.com/…/lf7a0008.jpg兼 Aras Corporation Vice President久次 昌彦

冒頭でアラスジャパン社長の久次は、2日間リラックスして多くのことを吸収し、来場者同士、そしてArasやパートナーとのコラボレーションをすることがArasのコミュニティの活用のポイントであると語りました。

 

「キーノートスピーチ(同時通訳)」  Aras Corporation CEO & Founder Peter Schroer

今年Peterが最も強調したのは「デジタルツインとデジタルスレッドがなぜ必要か」。

多くのPLMベンダーがデジタルツインのためのツールをプロモーションをする中、なぜデジタルツイン、デジタルスレッドが製造業には求められるべきか、の解まで説明がないケースも多く、業界のアナリストたちもデジタルツイン・デジタルスレッド・デジタルモデルの定義を誤っていることさえあります。やみくもにITツールを導入するのではなく、コネクテッドやIoT等、製品がますます複雑化する中で「なぜ」を考えていくことの重要性について述べました。 Arasがフォーカスするのは「デジタルスレッド」。どのような情報がどのように結びつくべきか、そしてそれはなぜかを交えてArasの方針を紹介しました。 終盤にはArasが買収したMROソリューションにも触れ、「PLMもデジタルトランスフォーメーションも長い旅であり、継続的な改善が不可欠である。Arasはその旅のパートナーとして支えていく」と締めくくりました。

「What's New from Aras(同時通訳)」  Aras Corporation VP Product Management John Sperling

V11 SP10からSP16、そしてこの冬リリース予定の新バージョン12について、さらにはV12のSP1ではSPDMやMROといった機能が搭載されていくことに触れました。 SF小説・映画の大ファンだと公言するJohnは、スティーブン・スピルバーグ監督のレディ・プレイヤーに登場する3つの鍵にたとえ、デジタルトランスフォーメーションの成功に欠かせない3つの鍵について述べました。

1つ目は「PLMアンダーグラウンド」となっているExcel等のツールからの脱却。 2つ目はデジタルスレッドを実現するための幅広いソリューションの展開。 3つ目は、拡張したソリューションをユーザーに利用させること。

これらの「鍵」となる、直近のサービスパックでリリース済み、そしてV12で搭載予定の各種機能について紹介しました。

ユーザー事例講演「村田製作所におけるAras Innovatorの導入、その後の展開について」 株式会社村田製作所 技術・事業開発本部 共通基盤技術センター CAD/CAE技術部 シニアITスペシャリスト 紙田 徹 氏

ACE 2014 JAPANでも事例講演をしてくださった同氏。その後の数年間において、ソニーの電池事業買収時のPLM統合や、2度のアップグレードにおける経験談を率直に語っていただきました。

特に、Arasの変化対応力がソニーの電池事業買収に当たっては大いに役立ったと述べられています。

2度のアップグレード所要期間は、1度目が4か月、2度目が7か月ということで、2度目に起きたコミュニケーションミスによるタイムロスの事例を紹介され、今後アップグレードに取り組むユーザー企業に向けてアドバイスされました。アップグレード後はユーザーからの不明点問い合わせ等もなく、パフォーマンスの大幅な改善に現場から高い評価を得ることができたと話されました。

基調講演「クルマはなぜ「モノ」から「サービス」になるのか 〜トヨタやAmazonの動きから読み解くクルマの未来〜」 オートインサイト株式会社 代表 鶴原 吉郎 氏

100年に一度の転換期にある自動車業界。テクノロジーの進化によって起こった「電動化」「自動化」「コネクテッド化」という変化に、ビジネスはどうついていくべきか、Amazonに代表される小売業界の変革を題材に、最新のこれからの自動車業界についての見解を述べていただきました。 この大きな流れは、完成車メーカーが「モビリティサービス」への転換を余儀なくされるだけでなく、将来的には土地の活用や都市計画にまで影響を及ぼす大きなものであると説明されました。それに伴って、製造業は製造プロセスの改革が求められるのではないか、と聴講者に投げかけました。

Aras Community Reception (懇親会)

今年の懇親会も、Arasユーザ、検討中のお客様、Aras認定パートナー、アラスジャパン、米国Aras、欧州Arasのメンバーが一堂に会し、話の尽きない2時間となりました。ギタリストの乱入も…!

Day2:6月15日(金)

「Arasのビジョンと製品ロードマップ」  アラスジャパン プロフェッショナルサービス ディレクター 宮内 一也

宮内は、Arasが目指すデジタルスレッドの実現に向けて、引き続き機能拡張を進めていることを述べました。買収したMROソリューションについても、様々な業界で利用価値が出てくると強調しました。 今後の機能強化として、「より完全なPLMへ」(製造実行システムとの連携、バリデーション・ベリフィケーション、シミュレーションプロセスとデータマネジメントなど)、そして「先進的なPLMへ」(スケール化サービス、ルールエンジンの強化、新たな構成管理など)、さらには「より使いやすい」「よりパーソナルな」「よりコンフィギュラブルな」「よりコネクテッドな」PLMに向けた各方針を紹介しました。

※Arasの最新ロードマップは こちら

ユーザー事例講演「Arasによる医療機器QMSシステムの開発と運用」 富士フイルム株式会社 メディカルシステム事業部品証薬事部 技術マネージャー 星野 照美 氏

星野氏は、同社全体のITインフラリプレイスに伴いQMSシステムの新設が必要になったこと、システム検討のプロセス、比較検討項目、Aras Innovatorへの評価を詳しくお話いただきました。導入中に一時パフォーマンスに課題があったものの、日米のArasと密にコミュニケーションをとり乗り越えたこと、得た気づきについて聴講者に共有されました。また、グローバルに活躍する医療機器メーカーが避けて通れないFDA等の監査において、どのようにAras Innovatorでの「文書電子化」が役立ったのかを説明され、Aras Innovator導入後の初回監査を無事終了したと述べられました。 今後は、社内全体は、Arasの活用をQMSにとどめず、全社ひいてはサプライヤにまで展開し、市場情報の収集から新製品の企画にデータを生かすなど、まさに製品ライフサイクル全体を通した全般に適用していく方針であると紹介されました。

ユーザー事例講演「Azure Data LakeおよびPowerBIによるAras Innovatorの拡張事例」  日本マイクロソフト株式会社 エンタープライズ事業本部 製造営業統括本部 インダストリーソリューションマネージャー 鈴木 靖隆 氏

クラウドへの移行が加速し、必要な時に適切な情報が求められるニーズは高まっています。同氏には、Microsoftのデバイス部門(Surface、XBOX、HoloLens等)にOnePDMとして導入したAras Innovatorを、企業全体にわたる製品群の複雑で新しい要求に対峙した際に、AzureやAzure Data Lake、PowerBI を活用しスケールさせた事例をお話いただきました。Aras InnovatorをAzure上で稼働させた際の実際のサーバ構成や、オンプレミスとの性能比較結果を紹介され、データ量が数年前と比べ各段に増加している現在では、多くの企業においてクラウドを選択する価値があると提言されました。

Aras Unconferenced

ACEの場で定着しつつあるAras Unconferenced。例年通りAras経営陣を囲んでのフリーディスカッションを行いました。

参加者の率直な意見には、アップグレード期間の短縮、日本語ドキュメントの拡充等の要望が上がり、Peter、John、久次が真摯に受け止め回答しました。また、「MPPやCADについてももっとACEの中で情報が欲しかった」等の意見があり、Peterからは「ACEはArasのものではない、皆さんのためのものである。ぜひ開催形式、コンテンツについてもフィードバックしてほしい」と回答しました。このほか、「セッションで紹介された新ユーザーインターフェイスにかなり期待している」という声も上がりました。

Day1 & Day2共通コンテンツ

★初★User Unconferenced

例年、お客様からの質問にArasが答えるUnconferenced。今年はユーザー事例をご発表いただいた村田製作所様、富士フイルム様の2社にご協力いただき、「User Unconferenced」が実現しました。講演の中では聞けなかった細かな質問や、Aras Innovatorを積極的に活用される両社にアドバイスを求める声などもあがりました。

分科会

Day1、Day2両日の分科会では、5トラック(Arasトラック×2、MBSE+αトラック、パートナートラック×2)に分かれ全22セッションが実施されました。Arasによる最新ソリューション・人気ソリューションのデモンストレーション、パートナーによる、AIやIoT等最新トピックスとAras Innovatorの連携ソリューション紹介、MBSEのアカデミックな講義、欧州OEMにおけるMBSEの実態など、様々な講演が行われました。

すべての分科会コンテンツのタイトル・講演者はこちらでご確認ください。 ACE 2018 Japan Agenda [PDF]  

展示

協賛パートナーによる様々な連携ソリューションが2日間に亘り紹介されました。

  • PLM上のCADデータをVRで遠隔地から複数名レビュー(SCSK)
  • エレキ開発×PLM連携(図研)
  • MATLAB連携/ビジュアルコラボレーションによるモデルレビュー(MCOR)
  • デジタルツインソリューション(日本アイ・ビー・エム)
  • Aras Innovatorのカスタマイズ開発ツール「Innovator Studio」(クリエイティブジャパン)
  • 製品ライフサイクルを通じた、全員参加型のコストマネジメントソリューション(コベルコシステム)
  • 繰返し受注生産型BOMテンプレート(デジタルプロセス)
  • プロジェクト管理最新ソリューション(ザイオネックス)
  • 3Dデータ活用ソリューション/医療機器メーカー向けソリューション/ALM連携ソリューション(ADS)
  • 最新CADコネクタ、PLMコネクタ(XPLM)
  • 品質向上とイノベーションを実現するソリューション(日立システムズ)

また、本年は初めて「Touch! Aras」というブースを展示ブース内にご用意しました。 どなたでもAras Innovatorを自由に触っていただける端末で、多くのお客様にご利用いただきました。

2日間を通して

本年のACE Japanはいかがでしたでしょうか。 Aras最新情報の取得、コミュニティにおける交流、情報交換、ユーザー事例、パートナー各社の最新ソリューションなど…皆様のご来場の目的が少しでも達成されれば幸いです。 例年久次やPeterからも申し上げておりますが、Arasは一般的なソフトウェアベンダーとは異なり、Aras、お客様、認定パートナーの三者からなるコミュニティを形成し、お客様のニーズにあった製品の開発に尽力したいと考えております。ぜひ積極的にコミュニティに関与していただき、皆さまのご意見をお聞かせください。

ご来場いただきました皆様、展示・ご講演でご協力いただきました協賛パートナー各社様、そして貴重な事例をご提供いただきましたユーザ各社様に、改めて心より御礼申し上げます。

ACE 2019 Japanのご来場もお待ちしております。

Special Thanks

日本アイ・ビー・エム株式会社SCSK株式会社株式会社MCORコベルコシステム株式会社ザイオネックス株式会社株式会社 図研デジタルプロセス株式会社株式会社ADS株式会社クリエイティブジャパンXPLM Solution GmbH株式会社日立システムズ株式会社ネオシステム株式会社プルーブ伊藤忠テクノソリューションズ株式会社株式会社アミック日本マイクロソフト株式会社、日経XTECHMONOist

それでは、皆様また来年のACE 2019 Japanでお会いしましょう!


すべての講演資料はこちらから http://aras.com/plm/003620


 

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